設置の背景と目的

SIG-SLAM(Cognitive Schema and Learning Activity Modeling/認知スキーマ・学習活動モデリング)は、学習者が形成すべき認知スキーマそのものを学術的なモデリング対象として正面から扱い、それと対応づけられた学習活動・教材・知的学習支援システムをどのように設計・評価するかを中心テーマとする研究グループです。

近年の教育システム研究は、学習結果(成績変化、行動ログなど)を中心に評価される傾向が強まる一方で、「どのような認知スキーマを形成させたいのか」そのために、どのような学習活動・支援が必要なのか」というモデル/設計段階の知見が、論文として記述・査読・蓄積される枠組みは十分には整っていません。SIG-SLAM はこの空白に着目し、認知科学・教育工学・人工知能・知識工学の交点で、

  • 認知スキーマと学習活動・教材・支援を関係づけた明示的モデルの記述様式
  • それを学術的成果として評価する論証・レビュー観点
  • そしてそれらを支えるシステム設計と相互運用性

を体系的に議論する場をつくることを目的とします。

取り組む 7 つの問い

SIG-SLAM は、以下 7 つの問いを共通の出発点として活動します。

  1. 学習者が形成すべき認知スキーマは、いかにして明示的に記述されうるか。
  2. その認知スキーマと学習活動・教材は、どのような対応関係として表現されるべきか。
  3. 認知スキーマを形成させるための学習支援システムは、どのように設計・評価されるべきか。
  4. モデル/設計段階の研究成果は、どのような記述様式と論証によって学術的に評価されうるか。
  5. ドメインモデル・学習者モデル・支援戦略の相互運用性は、どのように担保されるべきか。
  6. 適応的支援・抽象化支援は、認知スキーマ形成にどのように寄与するか、またその効果はどのように記述・評価されうるか。
  7. 結果データの多寡に依存せず、モデル/設計それ自体を学術的に評価可能とする枠組みは成立しうるか。

期待される効果

学術的効果

  • モデル/設計段階の研究成果に対する記述様式・論証・レビュー観点を共有することで、データ規模に依存しない学術的評価枠組みを醸成する。
  • 認知科学・教育工学・人工知能・知識工学の交点に位置する研究テーマに明示的なフォーラムを与え、関連研究者の協働を促進する。

社会的効果

  • 認知スキーマと学習活動・支援の関係を明示化することは、教材・支援システムの説明可能性・継承性・再利用性の向上につながる。
  • 教育現場における支援設計の根拠を、結果データのみに偏らず、認知スキーマ・学習活動の構造に基づいて議論できるようになる。

学会への寄与

  • JSiSE におけるモデル/設計段階の研究を担う場として機能し、論文化・レビュー文化の発展に寄与する。
  • 全国大会・研究会等における企画セッションを継続的に提供し、学会の研究多様性を支える。